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骨董、アンティーク、ヴィンテージ、レトロの違い

古くて価値のあるものを表す言葉にアンティークとヴィンテージがあります。どちらも似たような言葉で、はっきりと使い分けがされていない印象があるかもしれません。

アンティークとヴィンテージの違いにはどのようなものがあるのでしょうか。
 
●アンティークの基準

アンティークとはフランス語で「骨董品」という意味で、古くて価値のある品物全般をさす言葉として使われています。

古い歴史のあるヨーロッパ諸国にはアンティーク製品に対する明確な定義がありませんでした。

アメリカの通商関税法が「アンティークとは製造から100年以上が経過しているもの」と説き、それを世界貿易機関(WTO)が採用し、かつての時代の趣を感じさせてくれるものとして「アンティーク」と呼ばれるようになったようです。

骨董の世界におけるアンティークの定義は1934年にアメリカで制定された通商関税法によって「100年を経過した手工芸品・工芸品・美術品」となりました。

1934年以降、もともと骨董品の分類基準がなかったヨーロッパなどでもこの定義が広く使われるようになりました。

日本でも現在まで「100年以上」の基準が適用され、骨董品の鑑定や買取などで使われています。ただし、単に古いだけではアンティークではなく、時代を感じさせて品質も保たれており、骨董品としての価値があると判断される場合にのみアンティークの呼称が使用可能です。

インテリアなどのアンティーク調は比較的新しい品物を年代物であるかのように加工する様式であり、本来の意味のアンティークとは異なります。

アンティークには製造から100年以上経過しているものという定義があるため、ヴィンテージやレトロなどの類似した言葉と使い分けることができます。

骨董の世界では通商関税法による年代基準が広く使われていますが、日常では100年という数字にこだわらず、ただ単に年式の古い美術品や使い古された工芸品をアンティークと呼ぶことが多いようです。

アンティークは家具からアクセサリーまでさまざまな物品に対して使われ、単純に西洋の古い家具を指す場合もあれば、一度人の手に渡りいくらか消耗された状態に付加価値を見出して呼ばれる場合もあります。

基本的にアンティークとして扱われているものの多くは外国産の家具やアクセサリーなどで、19世紀末期頃に生産されたものが多いです。

日本では100年未満の品物はコレクティブルと呼ぶのが一般的で、アメリカではコレクティブルは経過年数に関係なくコレクションのひとつの言い方として捉えられています。
 
●ヴィンテージ

ヴィンテージとは元々ワインの収穫年や上質で古いワインを表す言葉で、現在では古着やジーンズにも使われることもあります。

製造から年月が経ったワインをヴィンテージと呼んでいたことから、使い古されて年代を感じさせるものを広くヴィンテージと呼ぶようになりました。

アメリカでは一般的に約30年前~100年未満のものがヴィンテージと呼ばれ、古すぎず新しすぎない年代のものがいわゆるヴィンテージ品として市場に多く出回っています。

骨董におけるヴィンテージの基準はあいまいで、アンティークのように「製造から100年以上」などのように明確な基準はなく、店舗や管理者によっても年代基準は異なります。

長年の慣例から1970年代以前の古着などを主にヴィンテージと呼ぶ傾向があり、この基準が骨董の世界でも一般的に適用されています。
 
●レトロ

レトロはアンティークやヴィンテージとは違い年代や品質を表現する言葉ではなく、趣味や世界観を表しています。

一般的にヴィンテージに近い雰囲気を醸し出している品物で、古き良き品物に対して「レトロ」が使われています。

●アンティーク、ヴィンテージ、レトロの違い

アンティークが絵画や工芸品などの比較的大型で耐久性のある品目に使われるのに対し、ヴィンテージは古着やワインなど短いスパンで消耗する品物に使われることが多いところが大きな違いです。

レトロは単に懐古趣味を表しているもので骨董の鑑定基準に使われているわけではありません。

芸術的価値が高く100年以上経ったものをアンティーク、アンティークほど価値はなく100年未満のものをヴィンテージ、年代問わず古いものが好きな方に対して使う言葉がレトロというように使い分けられています。
 
●骨董

日本の骨董は、日本的な美や価値を持つものに対して呼ばれています。

骨董は古い品物すべてを包む言葉で、日本では定義があいまいなアンティークも骨董の中のひとつのグループとなっています。

日本語の骨董品にはアンティークが含まれている場合があり、そこから骨董がアンティークと同じものであるという誤解が生じやすくなっています。

骨董という言葉はすでに江戸時代から使われていましたが、当時は古道具という意味で使用され現在のように収集目的の品物を指す言葉ではなく、「ユーズド品」としての意味合いが強いものでした。

年代物として価値のある品や古い時代に使われていた小物などが骨董として認知され、明治時代に入って新たに「美術品」が骨董の中に含まれるようになりました。

江戸時代から明治時代にかけての骨董は日本の古い時代の品物や芸術品を示し、西洋の品物については別のカテゴリーとして捉えられていました。

現在に至るまで「骨董」と「アンティーク」が異なるニュアンスで使い分けられていますが、現代では日本語の中に英語やフランス語などの外来語が多く使用されるようになったため、アンティークも骨董のうちに含まれてきました。

江戸時代や明治時代とは骨董の使われ方が異なっています。

アンティークを「アートとして捉えられる物」骨董を「趣があり味わい深いもの」と考えたりなど捉え方が異なる場合もあり、「骨董はあくまでも日本の物だけを指していて、アンティークはアジアも含めた海外製品」と分ける考え方もあります。

アンティークの定義があいまいな日本では骨董とアンティークをそれぞれ分けて考えるには難しいですが、品物の見た目だけでなく製造された時代や歴史を辿ってみるとその品物が属するカテゴリーが分かります。
 
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